先日いらした患者さん。足の付根に強い痛みを訴えて、来院されました。股関節に痛みといえば、まずは変形性股関節症を疑います。
股関節をいろいろ動かして、音を確認。これで骨に響くような摩擦音があると、変形性関節症の可能性もありますが、そうした音は聞こえませんでした。
動かしているうちに、股関節よりも下、膝関節に違和感を感じました。動きが鈍く、完全伸展しても僅かに曲がりが残って、一直線にならないのです。
これは膝の狂いが股関節に及んでいるか、と膝関節をTAMで治療しました。
膝関節周辺の皮下組織の癒着を解消、ついでずらし法、ねじり法で関節包・靭帯の癒着を解消して、伸びるようにしました。もちろん、足関節の歪みも治療します。すると、その場で痛みが軽減しました。
二週間後の再来院でも「股関節の痛みは楽になった」と、普通に歩いていらっしゃいました。
■影響の向かう方向
痛みや不調の原因は、いつも痛みのある部分にあるとは限りません。別の部分からの影響で、痛みが出ていることが多いのです。ですから、治療も一部だけではなく、関連する部分から治療することで効果を上げることができます。
八起堂治療院では、膝の治療をする時には、足関節を治療します。肩を治療するには肘や、手首を治療します。末端から中心へ向かう方向で影響が及ぶことが多いからです。
東洋医学でもこうした傾向はあって、手首周辺に重要なツボ(原穴)があったりします。
その一方、私が昔学んでいたAKA(関節運動学的アプローチ)では、仙腸関節(骨盤)から、全身に影響が及ぶとして、仙腸関節の治療を再優先にしていました。
筋肉の硬結を狙って鍼を打つ、トリガーポイントアプローチでも、トリガーポイントは、痛みの場所より上にあることが多いとしています。
次回、こうした上から・下からの影響について、もう少し書きます。