前回、低炭水化物食とアスリートの関係を書きました。
身体に蓄えられるエネルギーの量で言うと、脂肪は炭水化物の70倍。低炭水化物状態に慣れ、「脂肪を使う能力」を高くすれば、長距離をバテず走れる、という話でした。
こういう話が出ると、どうしても低炭水化物ダイエットに触れないわけにはいきませんね。
安全性に対する疑問など諸説ありますが、脂肪を使う能力に着目すると、けっこう合理的なダイエットかもしれません。
■低炭水化物で、燃料を切り替える
身体にとって、炭水化物は非常に使いやすい燃料です。
それに比べると、脂肪は分解に手間がかかる分だけ、使いにくい燃料。
脂肪と炭水化物の両方があれば、身体は炭水化物を優先的に使います。
仮に、脂肪を使う能力が低いまま炭水化物をとると、炭水化物ばかり使って、脂肪は少ししか使われません。
もともと少ない炭水化物を使い切ったところで空腹感が出るので、食欲が出ます。そこで大量に炭水化物をとると、余った炭水化物は、脂肪に変換(以上、繰り返し)。
低炭水化物食を続けると、グルカゴンや、リパーゼがよく働くようになり、脂肪を使う能力が上がってくると考えられます。
血糖値の上下が小さいので、極端な空腹感が出にくいのと、ストレートに脂肪を使える分だけ、体重の落ちが早くなると考えられるのです。
■低炭水化物の方が、健康に良い?
この、脂肪を分解する能力というのは、意外に大事なんじゃないかと思い始めました。
悪玉コレステロールの量は、脂肪を食べる量よりも、炭水化物の量に比例するという説があります(根拠は未確認)。
以前は「脂肪を食うから脂肪が増えるんだろ!」と思っていたのですが「脂肪を使う能力」を考えるようになってから、考えが変わりました。
体内の脂肪を減らすには、使い切るしかありません(実際には、食物繊維で腸から出す方法もありますが、それは次回)。
だったら、脂肪を使う能力が高い人の方が、ちょっとした減食で血管や内臓の脂肪を減らすことができるはず。
低炭水化物食は、結果として内臓脂肪や血管の脂肪も減らせることになります。
■多すぎれば、なんでもダメになる
私は低炭水化物ダイエットには否定的だったのですが、今回書いたようなことを考えた結果、場合によってはアリだなと思うようになりました。
ただ、ダイエットの原則はあくまで「食べた量よりも、使う量が増えると、痩せる」というもの。
低炭水化物ダイエットが「炭水化物だけ抜けば、何をいくら食べても大丈夫」と誤解されることがありますが、さすがにそんなことはありません。あくまで減食が基本です。
脂肪を使う能力が上がったところで減食すれば、効率よく痩せるというくらいに考えておくとよいでしょう。
ただし、前回も書いたように、長期的な安全性は確認されていません。実行する際には、そのことも考えて注意してください。