手首から、肘の痛みを治す

 テニス肘、野球肘と、スポーツ選手の肘が痛むことは珍しくありません。

■基本的には安静と、フォームの点検ですが…

 一般的な肘の痛みは、肘関節や腱の炎症によるもの。安静を保って、痛みが引くのを待ちます。

 また、フォームの確認も重要です。

 肘に負担がかかりすぎないよう、フォームを見直すことで、再発を防ぐことができます(とくに少年野球では、肘を高く上げたオーバースローを徹底することで、野球肘の予防ができるとされています)。

 

 問題は、それでも痛みが長引くとき。

 少し前、肘の痛みで来院された患者さん。
 病院ではテニス肘と診断されたそうですが、安静を保っても、なかなか痛みが引かず、もしかして関節の癒着か? ということで、いらっしゃいました。

 

■肘の痛みが手首で治る

 まず、腕の動きを確かめました。
 前腕を回外(外にねじる)した時に、はねかえされるような抵抗感があります。肘にも確かに癒着がありましたが、それほど強いものではありません。

 

 抵抗のあるところを調べて、発見したのは手首でした。手首の根元には、手根骨という小さな骨が集まっています。その骨どうしが貼り付いたようになり、動きにくくなっていたのです。

 そこでTAM手技で手首の骨を柔らかく動くようにしたところ、腕のねじりが軽くなり、肘の痛みも減りました。 

 

■肘と手首の深い関係

 私たちの手は、肘から先の二本の骨(橈骨と尺骨といいます)が、交差することで、内外に捻ることができます。

 この回転運動は、肘と手首の両方で起こっていますが、とくに動きが悪くなりやすいのは、手首側。手根骨の動きが悪くなることで、ねじるときに抵抗が生じます。

 肘の方ではより大きく動かざるを得ず、負担がかかって痛むようです。そんなときは、手首の治療で肘の負担が減り、効果が得られます。

 

 肘の痛みは、基本的には安静とフォームの見直し。
 それでも長引く痛みがあれば、お気軽にご相談下さい。